こんにちは!梅雨ってこんなに長かったっけ、低気圧にそろそろ身体がもたなくなってきたSaeです。
じめじめコンクリート な街中に我慢できず、先週末都会を抜け出し、神奈川県藤野町 (現相模原市緑区 )へ行ってきました!目的はパーマカルチャー講座。
パーマカルチャー とは パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)/文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、永続可能な農業をもとに永続可能な文化、即ち、人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法 です。
デザイン手法とは言われているけど、哲学・スピリチュアル的要素とも親和性が高い考え方だと感じています。実践としては、農業だけじゃなく、建築やまちづくり、民主社会、循環型経済など幅広く応用されているようです。私自身、いつどこでパーマカルチャーに出会ったのか全く覚えていないけど、「多様性」「循環」「システム」「想像/創造」といったキーワードがずっと心の内にあって、どこかでピンときたんだよな。ああ、たぶんGreenzの記事 から影響を受けたんだと思います。もっとパーマカルチャーについて知りたいよ~という方は、ぜひ下記もチェックしてみてください◎東京アーバンパーマカルチャー - ホーム | Facebook
さて、本題に入ります。今回参加してきた講座の内容はこんな感じ↓↓↓
循環する暮らしのデザイン 第二期パーマカルチャー基礎講座 課外授業「コミュニティデザイン」 ■講座概要 2019年秋から大田区 池上のHitonamiで開講したパーマカルチャー基礎講座。循環型の暮らしをデザインし、実践するための講座です。最終回のテーマは、『コミュニティデザイン』。課外授業として、日本のトランジション タウン発祥の地でもあり、パーマカルチャーセンタージャパンが拠点とする藤野町 を訪れます。 コロナウィルスのパンデミック 、またここ数週に渡って続く各地の大雨。メディアからは不安や恐怖を伝える報道が続いています。このような事象が私たちに伝えていることは何か?人との接触 を避けて自らを隔離することが、未来の幸せへと繋がるのか?自然の脅威に対して、命を守る行動は、1人1人の力だけで叶うものなのか?そんな本質的な問いを語り合い、それぞれの答えを見つけ出すためにも、コミュニティの力が必要だと感じています。これまでの常識や安心がいとも簡単に覆される時代。同時に、そこから新たに創造のエネルギーが湧き上がる転換の時代。確かな足取りで、自分の頭と心をフルに使って進めるよう、自然との調和、人との結びつきを捉え直す機会にしてもらえたら嬉しく思います。
■日時 2020年7月26日(日) 10:00~16:00 ■スケジュール 9:45 JR中央線 「藤野駅 」集合 10:30 ➀廃材エコビレッジ ゆるゆる見学 12:00 ➁パーマカルチャーセンタージャパン農場見学 13:00 ➂昼食(近隣の里山 、上野原西原の雑穀を使った手料理) 14:00 ➃トランジション タウン藤野、西原のコミュニティについて 16:30 ➄コミュニティ作りワークショップ 17:30 ➅地域の家づくり見学 18:00 藤野駅 解散
藤野の基本情報
都心に一番近い里山 ともいわれている藤野。実際に行ってみると、思っていたよりも山あり川あり、けっこう緑豊かなところです。藤野駅 に降り立つと、登山の格好をしたおじさま・おばさまがたくさん。高尾山へと続く登山道があるみたいです。 地域の特徴ですが…カタカナ多いですね(笑) 聞くところによると、戦時中から芸術家たちを受け入れてきて、40年ほど前からは「ふるさと芸術村構想」のもと、町をあげて芸術家の移住を推進してきたとのこと。今でも移住の問い合わせは絶えず、地域内外から芸術家が集まる ”芸術のまち ” となったそうです。 1996年には、NPO法人 パーマカルチャー・センター・ジャパンが拠点を構え、毎年パーマカルチャーを学びに多くの人が訪れています(私もそのうちの一人!)。2004年には、小学校から高校までのシュタイナー学校 が開校し、「芸術としての教育」「自由への教育」を行うオルタナティブ な教育方針に惹かれて、若い家族も集まってくるようになりました。そして、2009年からトランジション タウン運動がはじまり、地域通貨 、電力、森林などのグループが活動しています。
トランジション タウン藤野の活動については、Greenzで詳しくまとめられています。私が気に入っている記事を3つ載せておきましたので、気になる方は要チェック✔
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パーマカルチャーツアー
やっちまってんな!!!! (いい意味で) うん、やっちまってた。なんて言ったらいいんだろう、世界観が爆発しておりました。なんか秘密基地みたいで、すごくわぐわぐする空間(わくわくよりももっと悪だくみな感じ笑)。廃材=みんなが捨ててるもので、建物自体も野外キッチンもコンポストトイレ も五右衛門風呂もつくられている。「価値の視点を変える 」というメッセージが込められているそうです。ほんとすごい。
左)コンポストトイレ 右)五右衛門風呂
中に入ると、さらにカオス。正面には紅白幕を背にしたDJステージ。天井にはミラーボール。鹿や亀のはく製に小判のコレクション…どこですかここは。なんじゃこりゃってなりすぎて、変なアドレナリンが分泌される(笑)
ひときわ神秘的だったのは、ここの村長さんでありアーティスト、飛龍さんの万華鏡。水晶玉でも置いてありそうなスピリチュアルな雰囲気のなか並べられている作品たち。土偶 ?私の知っている万華鏡の姿はそこにはありませんでした。見るからにやべえ。 やや恐れ多くも中を覗かせてもらうと…はああああ、なんてこった。きらきらがぐるんぐるんで、美しすぎました。ずっと見ていたい。だから、せめてと思って、全種類のぞいてきました。万華鏡で生計を立てているって聞いたときは、どういうこと!?って思ったけど、納得です。
「この世に廃材がある限り、このエコビレッジ に完成はない 」と飛龍さん。完成しないということは、来るたびに変わっているということ。ハウルの動く城 みたいな生きものの気配がします。また来ようと思いました。 ちなみに、エコビレッジ には、モバイルハウスをつくってる人もいたし、モバイルハウスであそびに来ている人もいました!
恋におちた
このときから、私の夢のひとつに ”モバイルハウスをつくって旅に出る” が追加されました。家ってふつう不動産っていわれるけど、可動産でもよくね? という、こちらも新たな価値の提案ですね。今後、藤野にモバイルハウスが集える場ができるらしく、とても楽しみです!
廃材エコビレッジ については、またまたGreenzに良い記事があったのでシェアします。(Greenzのまわし者ではないですよ笑)
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➁パーマカルチャーセンタージャパン農場見学
パーマカルチャー・センター・ジャパンの拠点は川の前に佇む古民家。このお家の中もとっても素敵で、いろりがあったり、縁側があったり、屋根裏部屋があったり。ほっと一息つける空間です。やっぱり古民家いいなあ。
いったん荷物を置いて、徒歩10分ほどのところにある農場を見せていただきました。写真はアースバックハウス というもので、土嚢を積み上げ漆喰で壁を固める工法でつくられています。断熱性・耐火性にすぐれているそうです。ここでは野菜と種の保存庫として使用されています。詳しくはこちら からパーマカルチャーガ ーデンの色んな工夫を見ることができます。
➂昼食(近隣の里山 、上野原西原の雑穀を使った手料理)
楽しみにしてたお昼ご飯!!隣町の山梨県 上野原に移住して、雑穀づくりをおじいさま師匠に学んでいるというお姉さんが作ってくださいました。きびごはん、白瓜の漬物、にんじんのラぺ、たかきびのメンチカツ、野菜と桃のゼリー寄せ、コーンスープ。雑穀のつぶつぶ感がとっても美味しい~~しあわせ。ついついおかわりまでしてしまい、大満足でした。
➃トランジション タウン藤野、西原のコミュニティについて
コミュニティってなんだろう? ということについて、トランジション タウン藤野の例もまじえながらみんなで考えました。最初にコミュニティの概念と藤野の取組についてプレゼンがあったのですが、実は超絶ねむかった(ほんとにごめんなさい)。。お腹いっぱいになった後の座学はつらいよ(泣) こうなったら最後、デジカメでスライド撮りまくる作戦を強行したので、今写真を見返しながら必死で復習しています。
コミュニティって本当にややこしい概念です…本当はあんまり考えたくないんですが、この際なので講座の内容とあわせて、『コミュニティを問い直す』という本を参考にしながら少し整理してみようと思います。
広井氏によると、コミュニティ とは「人間が、それに対して何らかの帰属意識 をもち、かつその構成メンバーの間に一定の連帯ないし相互扶助(支え合い) の意識が働いているような集団 」と暫定的に理解されています。 もともと日本では、「十分の付き合い」という地域における十の共同行為(冠、婚、葬式、年回忌、建築、病気、水害、火事、旅、出産)がありました。また里山 には、薪やカヤを採取するための入会地、田んぼに水をひくための水路など、住民が共同で利用・管理する場所や施設があります。「結」や「もやい」といった集落での共同作業は今も農村に残っていますね。広井氏は、こうした空間的な”場の共有 ”によって「ある種の情緒的(ないし非言語的な)つながりの感覚」をベースに形成されるのものを「農村型コミュニティ 」としています。一方で、同じ母校の出身であるとか、同じ志を持っているとか、”資格(メンバーシップ)の共有 ”によって「共通の規範やルール」に基づいて形成されるのものを「都市型コミュニティ 」としています。
それぞれの特徴を整理すると▶農村型コミュニティ ・共同体に一体化する(ないし吸収される)個人 ・情緒的(非言語的) ・同質性を前提とする
▶都市型コミュニティ ・独立した個人と個人のつながり ・規範的(言語的) ・異質性を前提とする
いわれてみれば何となくわかるようなわからないような。都市と農村って、きっちり分けられるものでもないと思うけど…という疑問に答えるかのように「都市の中の農村(ムラ社会 )」という考え方も本書の中で議論されています。 そもそもコミュニティという言葉が日本で初めて公的に示されたのは1969年のことだそう。高度経済成長気も終焉を迎え、改めて地域社会の意味づけと再編が求められるなか、これまでの自治 会とは別の新たな地域住民組織 の形成が期待されていた時期です。1995年に発生した「阪神・淡路大震災 」は、地域のつながりや助け合いの精神を含めた地域コミュニティの機能・役割の重要性を認識させる大きなきっかけとなったといわれています。これ以降、ボランティアやNPO など、地域を限らず特定の目的やテーマに沿った活動を行うコミュニティが増加しているようです。
はあ、難しい。やっぱ沼ですね。コミュニティは重層的かつ自然発生的なものだからこそ、分類・解釈が難しいです。 ちなみに、日本社会において圧倒的に強いのが「農村型コミュニティ」だそうで、「ウチとソト 」との落差が大きいという指摘や、日本人の人間関係は「空気 」でできているという点は、経験則的にうなずいてしまいました。
藤野のなかで稲が育てられる地域は限られている
コミュニティの概念の話はこのくらいにして、藤野の話に戻ると、たぶん藤野は都市型と農村型が入り組むコミュニティなんだと思います。広井氏がいう「都市のなかの農村」とは逆で、藤野には「農村のなかの都市」があって、個の力が強い印象を受けました。 なんで閉鎖的にならずに、外の人(異質性)を受け入れられるのだろう?と考えたんですが、稲作が盛んでない地域だったからじゃないかなと。お米を求めて周辺地域ともよく交流していたのかもしれないなと想像がふくらみました。
➄コミュニティ作りワークショップ
コミュニティって自然発生的なものだよねという話をしたので、”コミュニティ作り”という言い方はちょっと違和感ですが、藤野で行っているワークショップを少しだけ体験させていただきました。その名も「でしリスト 」。
つくり方はいたって簡単!「できること/貸せるもの」と「してほしいこと/貸してほしいもの」をそれぞれリストアップして、周りの人と共有するだけ。私のリストはこんな感じになりました!▶できること/貸せるもの ・話し相手になります ・ファシリテーション ・議事録係り ・インタビュー&記事づくり ・基本的なパソコン作業(Word, Excel , Powerpoint , HTML&CSS など) ・簡単な翻訳(英語のメールなど) ・クラシックバレエ の解説 ・小中学生に勉強を教える ・畑作業のお手伝い ・スーツケース貸せます ・本貸せます
▶してほしいこと/貸してほしいもの ・有機 栽培を学びたい ・自然酒、ナチュラ ルワインを学びたい ・だしの取り方から和食の作り方を学びたい ・お菓子づくりを学びたい ・家の片づけを手伝ってほしい ・キャンプしたい ・ピザ窯づくりを教えてほしい ・モバイルハウスを一緒につくってほしい ・漁と狩猟の現場に同行してみたい 書き終わったら、みんなで円になって時計回りにリストを回していきます。すると、結構わたしにできることあるじゃん!「してほしいこと/貸してほしいもの」にも名乗りをあげてくれた方がいて、とっても嬉しかった。このように、自分のできること/できないことを地域の人と共有することで、恩送り的に循環していく仕組み が藤野の地域通貨 (「でしリスト」の通帳版)になっているそうです。
➅地域の家づくり見学
ツアーの最後は、この日丸一日 、藤野を案内してくださったミカエさんのお宅「地球にうまれた小さな家」を見せていただきました。コンセプトは「地球に負荷をかけない循環を考えたしくみづくり 」。屋根には太陽光パネル と太陽熱温水器 、家の中には薪ストーブもあり、身の丈にあったエネルギーを使う暮らしをしたいというミカエさんのこだわりが伝わります。地域の自然素材を使って、たくさんのお友だちの手を借りながら建てられたというお家は、不思議と温もりが感じられました。素敵。
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まとめ
藤野から帰ってきたらなんだか身体の調子がいいんです!やっぱり適度な緑と運動と学び、そして美味しい食が無いとダメなんだなあ。このタイミングでまたひとつ素敵な地域と人と出会うことができて、心が豊かになりました。きっと、パーマカルチャーは生態系やコミュニティの網の目をより豊かなかたちに編みなおすためのデザインなんだなあ。
今回見せていただいた活動以外にも、まだまだ魅力がたくさんあるので、今後何度か訪れるなかで藤野の地域力の根源みたいなものに迫っていけたらと思います :)
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